
プロット制作
さて、キャラや世界観ができたから具体的ストーリーをどうするかだな。
うむ、とりあえず簡単なあらすじと構成を考えんとな。これが設計図(プロット)になるわけだし。
妖怪と戦うわけだが、問題はそこにどうやってもっていくかだな。
うむ。まず、日常生活から入っていけば良いのでは?
日常なぁ……ゲームしてるか、絵を描いているか。
本を読んでいるか、インターネットをしているか……駄目だ、華がない! これじゃ物語にならん。
映画を撮るってのはどうだ?
それだ! もともと俺たちはネットで自主映画放流のサイトとかやってたしな。
ああ、この画像も※シルバームーンの流用だし。
※月光戦士シルバームーン……ルドルフ227、オセロット114によるキャスト、スタッフ総勢二人という自主制作映画。自主映画ジャッカルに感化されて制作。2ちゃんねる自主映画スレでけっこう受ける。
主人公二人は大阪の映画学校に通う学生。夏休みに地元であるS市に帰郷し、卒業制作としてS市を舞台にした妖怪映画を撮ろうとする。
そこで、本物の妖怪が出てきてしまうわけだ。てか俺も大阪の映画学校に通ってることにするのね。
俺は大阪、お前はT県T市の学校に進学。お互い実家に帰ったときのみ、趣味的に映画を撮るとかいう現実に即した設定にしたら、ややこしくて何かと面倒くさい。だいたい、趣味で映画を撮る人間なんて世の中ほとんどおらんのだ、現実よりこっちの方が説得力がある。
まあ、撮りたいから二人で映画撮ろうなんてノリで行動する人間は、なかなかおらんからな……。
あと、シナリオの講師曰く、物語の冒頭部分で大体の主要人物がわかるようにした方がいいとのこと。
なるほど。では主人公と友人が帰郷する、駅にヒロインが迎えに来ているというのはどうだ?
いいね。その後、一度主人公の家に寄れば妹も顔見せができる。
うむ、そこで主人公がシスコン具合を見せれば、妹のキャラが立つな。
シスコンなのか、主人公……。
その方が面白いではないか。
現実を元にすると言いつつ、早くもキャラが崩れてきてるな。
ええい、そのまま現実でいったってしょうがないだろう。俺たち二人が主人公なんてキャラとしての魅力ゼロだ。
ま、それもそうだな……。
ではそういう方向で。
あと、小説のサイトで見たのだが物語は*****を*****することによって読者を*****することができるとのこと。(文章トリックに関することなので伏字)
なるほど。その辺も考えんとな。
全体の構成を考えるには箱書きというのを行うと良いらしい。
箱書き?
物語をイベントごとに分割して、メモ用紙に書いていく。それを並べながら全体の構成を考えるんだ。前後のイベントや、先がどうなるかが一目でわかるから、伏線とか貼りやすいし、中だるみになってきたあたりもわかる。
ふむふむ。
―― メモに先ほど決まった冒頭を書いて、机に並べる。
で、妖怪と戦うというのは決まってるわけだから、そこにどうやって持っていくかだな。
やはり映画撮影から話に入ろう。で、何かしら妖怪を出現させてしまうイベントを起こす。
うむ。封印を解くとか祟られるようなことするとか。
ベタだな……ううむ。
―― しばし考え中。
よし、****な****を手に入れて****にしよう。
なるほど。そこに自然に持っていくのはなかなか難しいな。
映画制作の日常を描きながら、少しずつシフトさせていければ良いのだが……。
うむ、ただ日常の積み重ねでありながら、突然妖怪が出てきても読者に受け入れられるくらいの下地を作っていく展開。
そう、映画作ってていきなり妖怪とか出てきたら、いくらこれが妖怪モノだと銘打ってるとはいえ、「なんじゃいそりゃ!」と突っ込まれること必至。そうならん為に、そこまでの過程で納得できるだけの伏線を張っていけばいい。
しかも日常を壊さない範囲でそれをやらねばならない……こいつはやりがいのある仕事だぜ。
まあ頑張れ。俺はシナリオは書けん。
さて、まあ妖怪が出てくるところまではいいとして、そこからどうする?
主人公たちと戦うか。
何でこいつら戦うんだよ、それ以前に戦えるのか? 妖怪相手に剣道やら空手やらが通じるとは思えんが……。
そうだな……俺なら戦わずに大阪に逃げ帰るわ。
だろ? 何かこう、理由付けをだな……。
うーん、じゃあここで****を出して****するってのは?
ああなるほどな、だが動機として弱いな……そうだ! この主人公たちの目的はなんだ?
映画を撮ることだろ。
本物の妖怪を使って、最恐の怪奇映画を撮るんだよ。その過程で、襲われた時などは自衛的に戦う。
なるほど、妖怪を見世物にするのか。欲求に忠実だな、この主人公。
欲望にまみれたのが人間だ。
人間というのは酷く、醜い……。
だいたい主人公は映画を撮るのが目的なんだ、最初の目標がコロコロ変わってたら話に一貫性がなくなる。
まあ、それもそうか……。
でもさすがにそれはあれなんで、妖怪共相手に本格的に戦わざる得なくなるような展開に持っていくにはだな……。
やはり*****というのが定番だろう。
なるほど、*****なのは主人公だけなのだから必然的に*****になっていくわけだな。
主人公が戦ってる横で、常に友人はさりげなくカメラ回してるんだよ。そしたら映画も撮れる。
なるほど、最初の目的から脱線することなくバトル展開まで持っていけるな。
で、戦ってやっつけて終わりか?
いや、さすがにそれではひねりもへったくれもないだろ。後日談的に、映画はどうなったかとか、皆どうなったかというので物語は続いていってだな……。
よし、そこで****の****として******そう。
なるほど。ならば*****は*****だな。
第二部突入というわけか。
で、ラストは何通りかあった方がいいと思うんだが。
うむ。ハッピーエンドと、バッドエンドと、トゥルーエンドくらいは欲しいな。
トゥルーエンドはやはり、病院で目覚めた主人公が窓の外にヒロインの姿を見つけて……。
それ、なんて※クリムゾンの迷宮?
※クリムゾンの迷宮……貴志佑介作。火星の迷宮と称される場所で、登場人物たちが殺し合うデスゲーム小説。
まあそれは冗談として、とりあえずパターンは決めて、細かいのは後で考えよう。
そうだな。これで大体の流れはできたな。
うむ。だが物語には縦の線と横の線が必要だ。
というと?
縦の線というのは物語のメインとなる筋。横の線というのはそれとは別の筋だ。わかりやすく言うと、※バトルロワイアルならゲームに生き残るのが縦の線。中川典子や川田章吾といった周囲の人間との絆や、友情愛情劇というのが横の線だ。まあ、バトロワの場合、群像劇だから簡単には括れんけど。
※バトルロワイアル……おそらく説明不要。社会問題になったデスゲーム小説。我々がリアル中学三年生の頃に流行りました。ちなみに、ルドルフ227は映画化云々で騒ぎになる前にすでに読んでおり、周囲に勧めていたのですがそのころは誰も見向きもせず。その後、社会問題化してテレビで取り上げられるようになってから、みんなこぞって俺の所に借りにきたというエピソードあり。作品そのものよりも、宣伝戦略というものがいかに重要かということを知らされた作品でした。
なるほど。この話の場合、縦の線は映画制作。横の線が妖怪との戦いか?
いや、その二つはセットで縦の線と考えていいだろう。もう一つ、それとは別に横の線を加えたいが……。
そこはオーソドックスに恋愛で良いのでは?
恋愛なぁ。
そもそもにして、ギャルゲーやらエロゲーを作るという話からここまで来ているわけだし。
そういやぁそうだったな。だが、問題は俺に恋愛が書けるかということだが……。
そんなもんはそこら辺のラブコメでも参考にしろ、むしろ本能の赴くままに書き殴れ!
そんなむちゃくちゃな……俺はまともな恋愛経験が少ないからよくわからん。
別に少なくてもいいんじゃねえの。そもそもにしてこの手のゲームに求められる恋愛ってのは、リアルな恋愛ではなく、中学生くらいの甘酸っぱい恋のようなものだろう。
それもそうだな。今時の恋愛なんぞ発情した馬鹿どもが、やるだけが目的で付き合うのだ。ナンパやら合コンなど愚の骨頂、本来好きな人がいる、付き合いたいというのが流れなのに、とにかく付き合いたいから好きな人を捜すというふうに目的と手段が入れ替わっている。単にセックスしたいだけだろ、クズどもが。付き合ってから好きなるとかよく聞くが、そもそも好きでないなら付き合うもんじゃないだろうと。確かにリアル恋愛など最早、夢も希望もないゴミ溜だな。
元来、日本に恋愛の文化などない。あるのは見合いと夜這いのみ! by HNKにようこそ! 山崎薫
―― 恋愛絡みになると発言が過激になる(モテない)二人でした。
というわけで、腐った現実などではない、君の理想とする夢と希望にあふれるピュアな恋愛を描いてくれたまえ。
うむ。
さて、妖怪モノという割にどんな妖怪を出すかがほとんど決まっていないな。
ああ、やはり定番でいくなら一反木綿とかぬり壁とかか。
某妖怪漫画の影響が色濃いな。
うーむ、あと有名どころといえばのっぺらぼうとか、河童とか。
雑魚臭漂うやつばっかりだな……やはりボス的に強い奴も入れたいな。妖狐とか、酒呑童子とか、ヤマタノオロチとか。
S市は港町なんだから海に関係したやつも出さねばなるまい。シーサーペントとかクラーケンとか。
ちょ、外国w
シーサーペントっていうとあれだが、大海蛇とすると別に日本に出ても普通だろ?
まあな、ちなみにあれは恐竜の生き残りだとかいう説が……。
面白い説だが、恐竜だと妖怪モノにならんので却下。
さいですか。まあこんなもんかな。
うむ。流れとイベントはできたから、あとはこれをもとにしっかり箱書きをすればプロットは完成だ。
そこから、いよいよ執筆に入るわけですな。
まあ、これが一番難儀なんですけどね……。
