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ガメラ3 邪神覚醒


 


親しい人は知っているだろうけど、俺はかなりの怪獣映画オタクである。
その中でも特に平成ガメラ三部作、そしてこの「ガメラ3 邪神覚醒」は俺の中で怪獣映画の最高傑作として位置づけられている。
ガメラ自体は有名なので怪獣映画を観ない人でも、知っている人も多いんじゃないだろうか。
空飛ぶ亀の怪獣ガメラと、鳥の怪獣ギャオスが戦う話だ。
怪獣映画というと幼稚園児〜小学生位が見る、いわゆる幼稚なものというのが、世間一般のイメージだろう。
たが、この平成ガメラ三部作は、それらと一線を画し、怪獣映画というよりはSF映画に近い作りになっている。対象年齢は中高生から大人くらいで、子供騙しではないリアルな設定と、ハードなストーリー展開の大人向け怪獣映画だ。
だがそれ故に、本来の客層である子供や怪獣映画好きには受け入れられなかった。かといって一般人からは「所詮、怪獣映画でしょ?(笑)」という目でしか見られず、高いクオリティにもかかわらず、興行的には失敗に終わる。
そんな賛否両論な平成ガメラの中でも、特に物議を醸したのが、このガメラ3だ。


ストーリー
四年前、東京でガメラとギャオスが決戦した際に、家族を亡くした少女、比良坂綾奈。奈良県南明日香村の親戚に引き取られていた彼女は、ある日、社の沢と言われる祠に足を踏み入れてしまう。そこは伝説の妖怪、柳星張を封印した祠だった。
一方、東京では、再び日本に飛来たギャオスと、それを追ってきたガメラが死闘を繰り広げ、渋谷は壊滅状態。多数の死傷者が。
そのニュースを見た綾奈は両親を殺したガメラに、激しい憎しみの炎を燃え上がらせる。
綾奈の怨念にシンクロし、柳星張が復活。彼女は柳星張とガメラを戦わせ、両親の仇を打とうとするが……。


怪獣が戦ったとき、町は豪快に破壊される。それは大きなカタルシスを生む。だが、その町には当然人が住んでいるわけだ。その人たちはどうなったのだろうか? そういう部分に視点を当てた意欲作。であるが……。
正直、怪獣映画好きの俺の仲間内でも意見は分かれている。曰わく、いろんな面でやりすぎだと。
確かにね。グロテスクだったり、エロチックだったり、陰陽道とかオカルト要素取り入れたり。かなり、やりすぎだと思う。
ガメラの吐いた炎で人間が黒こげになって吹き飛ばされたり、ギャオスの目玉がえぐれたり、ヒロインが触手で絡められて粘液でヌルヌルになったり……正直、子供は置いてけぼりだったと思う。てか、子供と一緒に見に来た親御さんから、公式サイトに苦情っぽい書き込みがあったし。
しかし、あえて言おう。
だが、それが良い! と。
この作品の特撮監督、樋口真嗣氏はあの有名なエヴァンゲリオンで絵コンテや脚本をした人だ。他にも多数のアニメ作品に関わっている。
つまりね、作り方がアニメなんですよ。上記みたいなシーンもアニメならありふれてるし、画面の作りや演出もモロにアニメ。イリスはエヴァンゲリオン、あるいは使徒の実写版みたいだったし。
そして今までアニメでしかできなかった演出を可能にしたのが、樋口監督の驚異的な特撮技術。それまでアニメでしかできなかった映像を、実写でそのまま再現してしまったのだ。
作品そのものに関しては賛否分かれる本作だが、特撮技術だけ言えば、前二作は足下にも及ばないというのは、誰もが認めるところだ。ガメラ3が公開されてから十年近くたつが、邦画に限って言えば、この作品を超える特撮映像を見たことがない(さすがにハリウッド映画には劣るが)。これも樋口監督のセンスによるものだろう。この十年で特撮技術は進歩したが、彼のセンスを超える人物が現れていないということか。
ただこういうアニメ的演出はかなり好みが分かれ、オタク臭いとか、気持ち悪いとか、格好良さだけを狙った薄っぺらい演出という人も多い。うちの学校の、映画批評の講師も「樋口の演出なんてのは駄目だ」と言ってたし。ちなみに俺はその発言以来、映画批評の授業には出席しなかった。俺の最も尊敬する映画人である樋口さんを馬鹿にする奴に習うことなどない。
特撮技術のみでなくストーリーやキャラクターも魅力的だ。ガメラやイリスを四神獣の朱雀、玄武に例え、陰陽道やマナといったオカルトネタを取り込んだのは批判も多いが、個人的には大好きだ。俺たちの作っているゲームも、和製オカルトだし。
キャラクターは、ギャオスを研究する鳥類学者や、前作でガメラとシンクロした陽のヒロイン、ガメラに両親を殺され怨念で柳星張とシンクロする陰のヒロイン、内閣安全調査室の巫女や天才ゲーム作家とかなり濃い面子が。
個人的に好きなのは陰のヒロインである比良坂綾奈と、天才ゲーム作家の倉田真也。
比良坂綾奈はガメラに両親を殺されたトラウマ持ちの病み病みヒロイン。「あんたもガメラに家を壊されて、大事な人を踏み潰されてみなさいよ」と言い放つ気丈な性格と、怨念まみれのダークさと、怪物と融合する際のエロスが俺のハートを鷲掴み(笑)
思えばこの娘が俺の病み病み女好きに火をつけたんだよな……。
ちなみに、彼女が怪物と交わる際、当初の予定では、全身触手でぐるぐる巻きだったり、繭の中の粘液に裸で浮かんでたりするシーンがあったとか。どう見てもエロゲーです、本当にありがとうございました。
自分の子供に見せられんからって、やめにしたみたいだけど(笑)
続いてゲーム作家、倉田真也。内閣安全調査室に所属する謎の美女、朝倉美都のブレーン的存在。古代文明から代々伝わる巫女の末裔と思われ、陰陽道等に精通している朝倉の片腕が、天才プログラマーというのが面白い。統計学や風水、マナといったものを元に世界の行く末をコンピューターでシミュレーションするのだが、彼自身は破滅思想のニヒリスト。人間は自滅の道を辿っており、いずれ滅びる。腐敗した文明は怪獣により滅ぼされるべきだと。
当時、中二病真っ盛りだった俺には、倉田真也の斜に構えた破滅思想が非常にかっこ良く思え、彼が俺の理想の男像だった。
時は流れ、倉田真也のことなど特に意識することも無くなった俺だが、気がつくとパソコンのキーを叩き、世の中を斜に構えて見て、人間の汚さに嫌気のさしているという、倉田真也みたいな大人になっていた。どうやら俺の中二病はまだ治っていないらしい。
ちなみに劇中では倉田の破滅思想に対し、鳥類学者の長峰真弓がこう反論している。
「どんなにみっともなくても、生物は最後の瞬間まで生きようとしますよ、人類も同じです」と。
いいね。かっこ良いよ。こういう熱い人も素敵だと思う。俺にはそういう生き方はできんからね。
この物語は、死闘を終え、満身創痍のガメラに新たな敵の群れが向かってくる場面で終わる。絶望的な状況に立ち向かうべく炎上する京都に佇むガメラ。そして、それをヒロインたちがそれぞれの思いを胸に、見守っている。

「ガメラは戦うつもりです。最後まで……一人になっても……」
「ガメラは、一人じゃないわ」


怪獣映画というジャンル上、観ず嫌いの人が多い平成ガメラ三部作だが、ぜひ偏
見を捨てて一度鑑賞してみることをお勧めする。



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