完成までの軌跡
2011/1/4
うちのサイトで製作を続けてきたサウンドノベル『妖鬼海産都市-ユメミナト-』が先日完成しました。
今後のことなど色々ありますが、とりあえずのひと段落として、製作について振り返っていこうと思います。
ざっとしたまとめなので、あまりおふざけ的な要素はないです。今までの中間報告を簡略化したような形です。
ブログかチラ裏にでも書いてろって感じの内容かもしれませんが、半ば自己満足的なものなので。
・製作のきっかけ
もともと製作のきっかけは「NHKにようこそ」で佐藤と山崎が「ゲームを作ろう」「シナリオと絵さえあれば誰でも作れる」ってことを言っていて、じゃあ作ってみようかという単純なものだった。
・ジャンル
とりあえず、どういうゲームを作るか? というところから考えていく。
ギャルゲーはしたことがないし、あまり恋愛ものとかは好きなジャンルじゃない。
国道を走りながら「どうせ作るなら地元を舞台にしたのがいいんじゃね?」という話になり、地元は妖怪が有名、じゃあ妖怪モノにしよう。
という流れでジャンルが決定。
・キャラクター製作
キャラクターをどうするかというところから考え始め、とりあえず主人公二人は作者をモデルにしたものという方向で。
それからメインヒロイン、妹キャラ、お姉さまキャラと、とりあえず定番パターンで女性キャラを。
この時点で決まったのはなんとなくの設定と、簡単なラフ画のみ。
その時のラフ画
主人公、鵲迅
友人、山岸赤夏
ヒロイン、鈴木瑠璃
妹、鵲友希英
先輩、御手洗真尋
今、見返すと色々とひどい(笑)
・プロット製作
妖怪モノと決まった時点で、妖怪と戦うバトルモノにしようということに決定。
簡単な流れはすぐに決まりましたが、細かいことはストーリーの整合性を合わせる為に変更したり、伏線を張るためにいじったり、他作品に影響を受けたりでちょくちょく変更し、最終的な完成プロットが決まったのは半年後くらいに。
・他作品研究
同人ゲームで売れた作品と言えば「月姫」と「ひぐらしのなく頃に」。
ゲームを作るなら最低でもこの二作はチェックしておかないとと思い、とりあえずひぐらしの鬼隠し編をダウンロード。
ひぐらしにはまって一時期ひぐらし厨と化する。
映画学校の演出の授業でひぐらしのパロディをやって、しかもそれが担当に選ばれて皆の前で発表されて焦るという醜態を晒すレベルのひぐらし厨に。
月姫もプレイ。
ちょうど友達がメルブラを買った時期だったので、友達の部屋に入り浸ってメルブラばかりする。
シエルは俺の嫁状態になる。クズ過ぎる。
クズ化していただけでなく、一応自分なりに研究し良いと思った点は取り入れる。
月姫は奈須きのこ氏の文章が自分に合わなかったのと、田舎を題材にしたホラーというジャンルもありひぐらしの影響を多々受ける。
・シナリオ執筆
映画学校でシナリオも一応勉強していたし、以前小説を書いていた時期があったので文章を書くということ自体は苦にならず。
しかし、書きながらも、色々と入れたいネタができたり、よりよい進め方がないかと、こだわりなかなか進まず。
本来、ゲームだからとか漫画だからで許されるようなちょっとしたところも、自分で書くとなるとけっこう整合性などにこだわってしまい、妖怪モノとはいえ超常現象もなるべく理屈をつけたいと思い、オカルトや宗教関係のサイトなどのチェックを。
経験ある人は多いと思うけども、資料集めの名目でネットを見ていると、ほぼ100パーセント気が付いたら関係ないネットサーフをして時間が過ぎている!
また、企画段階では学生だったのが、学校を卒業し時間がなくなって一時期、凍結に近い状態になっていたこともあり、シナリオの完成まで企画から一年半以上かかってしまう。
もともと卒業、もしくはそれから一年くらいまでには完成させるつもりだったのに。あまりにも甘すぎる見通し。
・背景写真
シナリオ執筆中、ずっとそればかりにかかりっきりになっていたわけでなく並行して他の作業も。
背景は地元を舞台にするので、デジカメ持って市内ぶらぶらしながら自分で撮影してきました。
ちょっと特殊な場所とか、撮り忘れてたところはフリー素材でカバー。
全部フリーですれば、もうちょっと早く終わらせれたかもしれませんが、そこは一つのこだわりで。
・ラフ画
シナリオに合わせてキャラクターやイベントCGのラフ画をノートなどに。
人間のデザインは俺が、妖怪のデザインは主にオセロット114が担当。
参考にしたのは水木しげる氏の作品や、漫画の地獄先生ぬ〜べ〜。忍者戦隊カクレンジャーなど。
・CG製作
同じく、シナリオ執筆と並行してCGの製作を。
とりあえず、メイン登場キャラの立ち絵から。
鵲迅
山岸赤夏
鈴木瑠璃
鵲友希英
御手洗真尋
今でも上手いとは言えないだろうけど、初期のラフデザインの段階から考えると相当に進歩したと思う。
・「人、儚キニ百花繚乱」公開
ゲーム製作で第一作目で大作をというのは無謀、というのはよく聞く。
実際、自分でやりながらこのまま完成するのか? という不安は感じていた。
そこで、まずは一作品完成させる、ゲームを公開・販売する手順を知る為に試験的なゲームを作ることにした。
とはいっても、ここに来てゼロから作るなんて馬鹿なことはもちろんせず、すでにあるシナリオに知人の
pusa氏に絵を着けてもらった。
シナリオも俺が書いたものではなかったので、実質俺がしたのはスクリプトのみになるけども。
それでも製作期間に3ヶ月ほどかかってしまった。
それがこの「人、儚キニ百花繚乱」。
専門学校の卒業制作で作った映画、それの原作をノベルゲーム化したもの。
試験的に作ったものなので、最低価格の400円設定。
売上としてはこれを書いてる段階で12本。
少ないことに変わりはないけども、今回のが現段階で4本ということを考えると健闘してると思う。
映画版はイベントで公開したり、期間限定で動画サイトに上げたりしたので、知名度があったのと、やはり低価格の方が敷居が低いからだと思われる。
なお、このとき絵を担当してくれたpusa氏にはゲームのテストプレイをしていただいたのですが、その際にイラストを描いてくれました。感謝!
・ペンタブ購入
ペンタブを購入。それまで手書きで線画を描き、スキャンして着色という手法だったのを、完全デジタル化すること飛躍的に画力と作業スピードが上がる。
よく「ペンタブは魔法の道具じゃない、ペンタブを買ったからって絵は上手くならない」って言う人がいる。
確かにそれはそうなんだろうけど、一定レベルの範囲内であればペンタブの有無で確実に画力は変わると断言できる。
まず、これは俺だけかもしれないけど、紙で描いてるときはどうも絵を客観的に見きれない。
紙で書いてて、これでOKって思っても、スキャンしてみるとものすごく歪んでいたりっていうことがよくある。
そして、デジタルならそういうときに後からすぐ修正ができる。
また、描いた直後は上手く描けたと思っても、しばらく間を置いて見てみると、いまいちだったりということはよくあるけども、そういう場合の修正もしやすい。
CGの全てが書き終わったのが2009年の12月、企画段階から3年半近くも経ってしまっていた……。
・音楽&効果音収集
音楽や効果音は自分で作るスキルがないので、完全にフリー素材頼み。
集めるだけなのですぐに終わるかと思ったけども、これがなかなかに時間がかかってしまった。
必要な素材のリストをまず作ったけども、シナリオが長い上、妙なこだわりからちょっとした音にも効果音を入れたくてファイル数が膨大な量に。
いくつか妥協したところもあったけれど、色んなサイトを探しまくって、なんとか収集する。
音楽で使用させていただいた主なサイト
効果音で利用させていただいた主なサイト
ありがとうございました。
・スクリプト
素材が完成したのでスクリプトを組む作業に。
これがなかなかに進まない……絵やシナリオと違ってまさに「作業」といったものなので、モチベーションがなかなか維持できず。
それでも、一日のノルマを決めて、なんとか進める。
第2章の途中までできたところで、それを体験版として公開。
・プロモーションムービー公開
宣伝の一環として、プロモーションムービーを製作、公開する。
もともと映画学校では編集が得意だったので。
youtube、ニコニコ動画に上げてから体験版のダウンロード数が3倍くらいに上がったので、そこそこの宣伝効果はあった。
・完成へ
スクリプトを組み終わり、いくらかのCGを修正&追加してついに完成に!
正直、漠然と作業をしている間は、直前まで完成するという実感が湧かずにいました。
5年かけて製作したものが完成を迎える……圧倒的な達成感、そしてなぜだかほんのちょっとの寂しさ。
・今後について
一応、この作品の完成、公開をしましたので、今後どうするかは正直未定です。
DL販売だけではほとんど売れないというのは皆が言いますし、実際そうだったので、イベントに参加しようかなと思っています。
ただ、いきなりコミケは恐ろしいので近場の小さいところからにしようか……でも小さいところだとやっぱり売れないんじゃないか?
プレスは何枚するか? 最小単位が100枚だけど100枚とか絶対売れないけど、もっと少ない数でしてくれるところはないだろうか?
などと、色々と思うところがあるので、その辺り調べてからイベント参加は考えたいと思います。
あと、プロモーションムービーを3本作ると言いつつ、結局1本しか作れなかったので、作って公開しようかと。
動画製作はそれ自体がけっこう楽しいので。
中間報告でもちらほら言っていましたが、続編の構想も実はあったりしますが、その辺りは一度オセロット114と会って話してから決めていけたらと思います。
以前から気にかけていただいていた方、5年間ありがとうございました。
そしてこれからも、よろしくお願い致します。
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